Eulerの公式

Dr. SSS 2019/04/27 - 20:08:58 複素解析

数学における最も素晴らしい公式…これは我々の至宝である。 ―Richard Feynman, ファインマン物理学I

はじめに

ここでは,指数関数と三角関数の間に成り立つ関係式,Eulerの公式の導出を行う。 この公式は,その神秘性ゆえのポピュラリティだけでなく,物理学において極めて大きな実用的重要性も持つ。


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内容

復習

まず,必要な知識をざっと示すが,より詳しくは『複素数の基礎』や『三角関数』の項を参照してもらいたい。

複素数

虚数単位$i$は,二乗して$-1$になる数

\begin{align} i \times i = -1 \end{align}

として定義される。具体的にいくつかの累乗を考えると

\begin{align} i^{0}=& 1, \quad i^{1}=i, \quad i^{2}=-1, \quad i^{3}=-i, \notag \\ i^{4}=& 1, \quad i^{5}=i, \quad i^{6}=-1, \quad i^{7}=-i, \cdots \end{align}

となる。


三角関数の微分

sine関数とcosine関数の微分は

\begin{align} (\sin x)^{\prime} &=\cos x \\ (\cos x)^{\prime} &=-\sin x \end{align}

で与えられる。ここでプライムは$x$についての微分を表す。


Taylor展開

無限回微分可能な実関数,あるいは複素関数$f(x)$の,$x_0$周りの展開

\begin{align} f(x)=& \sum_{k=0}^{\infty} \frac{f^{(k)}(x_0)}{k !}(x-x_0)^{k} \notag \\ =& f(x_0)+(x-x_0) f' (x_0)+\frac{(x-x_0)^{2}}{2 !} f^{\prime \prime}(x_0)+\frac{(x-x_0)^{3}}{3 !} f^{\prime \prime \prime}(x_0)+\cdots \end{align}

Taylor展開という。特に$x_0=0$の場合

\begin{align} f(x)=& \sum_{k=0}^{\infty} f^{(k)}(0) \frac{x^{k}}{k !} \notag \\ =& f(0)+x f^{\prime}(0)+\frac{x^{2}}{2 !} f^{\prime \prime}(0)+\frac{x^{3}}{3 !} f^{\prime \prime \prime}(0)+\cdots \end{align}

Maclaurin展開と呼ぶ。




導出

指数関数のMaclaurin展開は

\begin{align} e^z =& \sum_{k=0}^{\infty} \frac{z^{k}}{k !} \notag \\ \label {exp z} =& 1+z+\frac{z^{2}}{2 !}+\frac{z^{3}}{3 !}+\frac{z^{4}}{4 !}+\frac{z^{5}}{5 !}+\frac{z^{6}}{6 !}+\frac{z^{7}}{7 !}\cdots \end{align}

である。 一方$\cos x$および$\sin x$の展開はそれぞれ

\begin{align} \cos x=& \sum_{k=0}^{\infty}(-1)^{k} \frac{x^{2 k}}{(2 k) !} \notag \\ =& 1-\frac{x^{2}}{2}+\frac{x^{4}}{4 !}-\frac{x^{6}}{6 !}+\cdots \end{align}

および

\begin{align} \sin x =& \sum_{k=0}^{\infty}(-1)^{k} \frac{x^{2 k+1}}{(2 k+1) !} \notag \\ =& x-\frac{x^{3}}{3 !}+\frac{x^{5}}{5 !}-\frac{x^{7}}{7 !}+\cdots \end{align}

であるから,(\ref{exp z})で$z=ix$とすると,Eulerの公式

\begin{equation} \begin{split} e^{i x} &=1+i x+\frac{(i x)^{2}}{2}+\frac{(i x)^{3}}{3 !}+\frac{(i x)^{4}}{4 !}+\frac{(i x)^{5}}{5 !}+\frac{(i x)^{6}}{6 !}+\frac{(i x)^{7}}{7 !}+\cdots \\ &=1+i x-\frac{x^{2}}{2}-i \frac{x^{3}}{3 !}+\frac{x^{4}}{4 !}+i \frac{x^{5}}{5 !}-\frac{x^{6}}{6 !}-i \frac{x^{7}}{7 !}+\cdots \\ &=\left(1-\frac{x^{2}}{2}+\frac{x^{4}}{4 !}-\frac{x^{6}}{6 !}+\cdots\right) +i\left(x-\frac{x^{3}}{3 !}+\frac{x^{5}}{5 !}-\frac{x^{7}}{7 !}+\cdots\right) \\ &=\cos x+i \sin x \end{split} \end{equation}

が示される。

複素平面で見ると,以下の図のようになる。

複素平面

$x=\pi$を代入すると

\begin{align} \notag e^{i\pi} = \cos \pi +i \sin \pi \end{align}

となり,$\cos \pi =-1$および$ \sin \pi=0$であるため,よく知れた関係式

\begin{align} e^{i\pi} =-1 \end{align}

あるいは自明な別の表現として

\begin{align} e^{i\pi} +1=0 \end{align}

が得られる。


参考文献


自然科学に関する質問やノート作りは『AfterSchool』で。