世界最古の一般向け科学雑誌であり,高い信頼度を誇る,アメリカの雑誌『Scientific American』が,次の大統領選挙において,ジョー・バイデン(Joe Biden)氏を支持することを正式に表明した。特定の候補の支持を表明するのは創刊以来175年の歴史で初めてのこと。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行に対してまともな対策をせず,自国に世界最大の被害をもたらし続けている。加えて,トランプは就任以来,科学的合意や科学者の助言を無視し続け,バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領が進めた環境保護や医療ケアに関する政策を無効にしたり,科学研究の予算を大幅にカットするなど,様々な形で科学と事実に背く行為を繰り返してきた。

これらの暴挙を受け,Scientific Americanは「証拠と科学は,ドナルド・トランプが――彼が証拠と科学を拒絶するがゆえに――米国とその国民に対して深刻な損害をもたらしてきたことを示している」という認識を明確にしている。

対してバイデン氏は「COVID-19を制御し,ヘルスケアを改善し,炭素排出量を削減し,政策決定における正当な科学の役割を復元する計画を携えている」と評価。

Scientific Americanによるこうした分析は,極端な右翼的イデオロギー,あるいは反科学的信念を抱いているのでない限り,誰の目にも明らかなことだろう。実際,トランプによる暴走とそれによって世界が深刻な損害を被ることは,彼が就任する以前から危惧されていたことであり,就任直後にも,多くの科学者たちが懸念や失望を表明したり,NASAやEPAなどの研究機関がソーシャルメディア上で反意を示すアカウントを続々と作成したりするなどの反応が見られた。

来る大統領選,二度も同じ過ちが起きないために,より多くの影響力ある人物や機関による呼びかけが起こることを期待する。

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