先日PRX Quantumで発表された研究により、初の長距離の持続的で高精度の量子テレポーテーションが成功した。
カリフォルニア工科大学と、フェルミ国立加速器研究所、AT&T、カルガリー大学、NASAジェットの推進研究所およびハーバード大学の研究者らは、光ファイバーネットワーク上で、総距離44kmに渡り、90%以上の精度で、光子による量子ビットの通信に成功した。これは、量子もつれを利用した高速のインターネット技術―量子インターネット―の実現に近づく大きな成果であるとみなされている。
量子もつれとは、粒子の組が、互いにどれだけ離れていようとも、片方の状態が決まると瞬時にもう一方の状態も決まる状態のことをいう。
この性質を利用し、量子もつれにある粒子の組に情報をエンコードすることで、遠く離れた場所にも高速で情報を送信することが可能になる。このときの情報単位を量子ビットという。
量子もつれは、わずかなノイズによってでも、干渉が起こると失われてしまうため、非常に高度が技術が要求されるのだが、一方で、情報が傍聴されると、それに伴うノイズによって状態が変わってしまう。
よって、この性質を利用することで、通信速度や計算速度が著しく向上するだけでなく、これまでにないセキュリティ技術を確立することもできると期待されている。
ソース:
情報理論 量子力学