バナナはおいしいだけでなく、カリウムが豊富で、値段も安く、非常にありがたい食べ物である。 そしてまた、その豊富なカリウムに関係して、とても興味深い性質も持っている。
反粒子の放出だ。バナナは約75分に1回、電子の反物質である陽電子を発している。
バナナに含まれるカリウムの中には、一部不安定な放射性同位体、カリウム40(40K)が含まれ、それが一定の割合でβ+崩壊と呼ばれる、陽子が中性子に変化する際に陽電子を放出する崩壊を起こすのである。
放射性物質と聞くと不安に思う人もいるかもしれない。 それも、あなたが日常的に口にしているだろう食品がその1つであるとなればなおさらだ。
しかし、放射線と聞いても必ずしも心配する必要はない。 食品からの反粒子を含めた放射線の放出は決して珍しいことではなく、通常、危険なものでも全くない。
例えばポテトチップス、干しシイタケ、そしてごはん(米)さえも、放射性物質カリウム40(40K)を含んでいる。 だがこれらは本当に微々たるもので、人体に悪影響を及ぼすレベルからは程遠く、具合が悪くなるほど胃に詰め込もうとすれば、放射線より他の影響が先に来るだろう。例えば人体に悪影響が生じると推定される線量(100ミリシーベルト)を受けるほどバナナを食べようとすれば、単純計算で100万本ほど食べる必要がある。
それゆえ、むしろ放射線を必要以上に怖がることがないように、バナナ一本を食べたときの線量に相当するバナナ等価線量(約0.1マイクロシーベルト)という指標も作られている。 これは非公式なものであるが、一般人が放射線のリスクを評価するのに非常に有用となるものだ。
例えば肉などの動物製品は、放射線関係なく公式に認められた発癌性物質であったり、種々の疾患リスクを上昇させるものであったりするが、バナナを含む植物性食品の多くは、むしろ癌のリスクを下げるなど、様々な健康効果を持っていることが数々の研究によって裏付けられている。 これからも、恐れることなくバナナの恩恵を享受していこう。
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