地球からケンタウルス座の方向に約50光年離れたところに、「ルーシー(Lucy)」と呼ばれるあるユニークな白色矮星がある。白色矮星とは、核融合反応を終えた星の燃えかすで、主に炭素や酸素から成る。
ルーシーのユニークなところは、ヘリウムと水素からなる気体層が覆う星の内部で炭素が結晶化しており、質量の90%が結晶化した炭素で構成されているということだ。
炭素は結合の仕方の違いによって、それぞれダイヤモンド(立体構造)と黒鉛(平面構造)とまったく異なる性質の物質になるが、ルーシーが含む炭素結晶はダイアモンド同様の立体構造であると考えられている。
つまり、この星の大部分はダイアモンドで出来ている。
ダイヤモンドなどの宝石の質量を表す単位としてカラット(=0.2g)という単位が用いられるが、この星は太陽の1.1倍の質量があり、ダイヤモンドの部分をカラットに換算すると、$10^{34}$カラットにもなる。1の後に0が34個つく数字である。
この宙に浮かぶダイヤモンドの星がルーシーと呼ばれるのは、ビートルズの楽曲『Lucy in the Sky with Diamonds』に由来するが、この宝石を手に入れるために50光年先まで飛ぶ方法は、それこそLSDに頼って裏口から旅行するくらいしかないかもしれない。
しかし、宇宙全体で見れば、このような天体は数えきれないほど存在している可能性がある。2020に発表されたアリゾナ州立大学とシカゴ大学の研究によると、炭素やその化合物を主成分とする「炭素惑星」は、水さえあれば、内部で大量にダイヤモンドを形成できるという。
研究著者は Business Insiderにこう述べている:「仮にダイヤモンドの惑星が10億に1個しかないとしても、宇宙は計り知れないほど広がっているので、何兆個ものダイヤモンドの惑星が存在する可能性がある」 。
ただ、このような惑星は、酸素濃度が薄く、生命が存在するには過酷すぎる環境であるようである。
宇宙全体で見れば、木はダイヤモンドよりはるかに貴重。
— 美しき物理学bot (@ST_phys_bot) March 19, 2021
ダイヤモンドは隕石に含まれていることもあるし、ダイヤモンドを主成分とする惑星すらある。
一方、生物は今のところ地球外で発見されていないし、存在したとしてもその比率がダイヤモンドよりはるかに小さいことは間違いないだろう。 https://t.co/0AQRfK40CF pic.twitter.com/LnXUOVf7Yq
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