1200℃のタングステン球と鉛のハンマー台

Dr. SSS 2019/11/08 - 20:09:01 化学
タングステン 共有結合 相転移 金属 金属結合 物性物理 イオン 融解

動画は、1200℃に熱したタングステンの球を、鉛でできたハンマー台に乗せる実験を撮影したものだ。高温のタングステンが、まるで氷のようにハンマー台を溶かしながら沈んでいく様は非常に興味深い。

タングステンは、3,422°Cと、金属の中で最も高い融点を持つ。一方で、鉛の融点は327.5°Cと一般の金属の中でも低い。

金属原子は、いくつかの電子を放出して陽イオンと自由電子とに分かれ、複数の陽イオンで自由電子を共有することによって結晶を形成する。この結合を金属結合という。金属結合のエネルギーは非常に高いため、金属は一般に高い融点を持つことになる。

一方、金属結合とは異なり、二つの原子が局所的に電子を共有する結合を共有結合というが、タングステンでは金属結合に加え、この共有結合型の結合も生じるため、結合エネルギーがさらに高くなり、したがって融点も著しく高いものとなる。

この性質が、動画のような興味深い現象を可能にしている。


参考

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