順列とトランプの並び順

Dr. SSS 2019/05/30 - 10:01:10 5712 基礎数学
はじめに

トランプの並び方を例に,順列という概念について説明する。


keywords: 数学, 高校数学, 時間, 組合せ, 順列, トランプ

内容

トランプの並び順

4つのシンボルごとに1から13の数字を取る52枚のカードで構成されるトランプ。このトランプの可能な並び順の数はどれくらいだろうか?

山札を十分よくシャッフルする度に,そこで得られる並びは,この地球上でこれまで一度も実現したことがない並びだといってまず間違いないくらい,十分な並べ方が存在している。

その計算の仕方自体はむつかしいものではない。一枚ずつ選んで山札を作っていくことを考えると,まず52枚のうちどれか1枚を選ぶ方法は52通りある。そして次のカードの選び方は,残る51枚どれを選んでもいいから,51通りある。その次も同様に残る50枚から…と繰り返すと,結局52枚を順に並べる方法は,52の階乗$$52!=52\cdot51\cdot50...3\cdot2\cdot1$$だけあることがわかる。

この52の階乗の計算結果は,なんと

\begin{align} \notag 52!=80,658,175,170,943,878,571,660,636,856,403,766,975,289,505,440,883,277,824,000,000,000,000 \end{align}

にもなる。近似的に書くと$$52!\simeq 8.0\times 10^{67}$$つまり, 8の後に0が67個付く値,1兆かける1兆かける1兆かける1兆かける1兆かける1億くらいの値となる。




これがどれくらい大きい数字かというと,例えば,宇宙の年齢は秒で表すと$10^{17}$のオーダーなので,宇宙の始まりから毎秒トランプの新しい並び順を試していたとしても,実現できる並びは可能な全並びの1%にも到底及ばないというくらいのものである。

それゆえ,あなたがトランプをシャッフルする度に,これまで一度も実現したこともなく,今後実現することもないだろう並び順を生み出していると言えるのである。

ここで用いた,複数の対象の並べたものを文字通り順列という。例えば52枚から3枚だけ選んで並べる方法の数は,上と同じ考え方で,$52\times 51\times 50$と計算できる。

一般的な表現として,$n$個のものから$k$個選んで並べる方法の数は

\begin{align} \notag n\times (n-1)\times(n-2)...(n-k+1)=\frac{n !}{(n-k) !} \end{align}

と書ける。



参考文献