連続の式

Dr. SSS 2019/09/10 - 12:36:49 流体力学
はじめに

ここでは,物理学を学ぶ場合,ほとんどの分野で顔を出す最も基礎的な方程式の一つである,連続の式(continuity equation)について説明する。

連続の式は保存則を表す式であり,後に述べるように様々な量に適用できるが,ここではまず質量保存則を例にして説明する。


keywords: 流体力学, 保存則, 連続の式

内容

連続の式の導出

ある体積$V$中に含まれる全質量$M$は,その体積内にある質量密度$\rho_m$を用いると

\begin{align} M=\int_V d^3x \rho_m(\bm{x},t) \end{align}

で与えられる。 $V$中の質量の変化は,表面積$S$を通したフロー速度$\bm{u}$に乗って流れ出る量で決まる。 したがって,面積要素$dS$に対して外向きの法線方向を正とすると

\begin{align} \notag \frac{dM}{dt} =& -\int_S d\bm{S}\cdot \bm{u}(\bm{x},t)\rho_m(\bm{x},t) \\ \label{eq:Mflo} =&-\int_V d^3x \nabla\cdot[\bm{u}(\bm{x},t)\rho_m(\bm{x},t)] \end{align}

が成り立つ。 2つ目の等式でGaussの定理を用いた。

下の図は,体積中に微小な立方体を取り,その中における質量フラックス$\rho_m \bm{u}$(単位時間に単位面積を通過する質量)の収支を表している。

フラックスの収支のイメージ

空間座標を$(x_1,x_2,x_3)$とし,それぞれの軸に沿って辺の長さ$(\Delta x_1, \Delta x_2, \Delta x_3)$を持つ立方体を置く。 $x_1$方向の成分を考え,左側の面$\Delta x_2 \Delta x_3$を通って立方体に流れ込むフラックスを$\rho_mu_1$とすると,右側の面から流れ出るフラックスは

\begin{align} \rho_m(x_1+\Delta x_1) u_1(x_1+\Delta x_1) \simeq \rho_m(x_1) u_1(x_1) + \frac{\pd(\rho_m u_1)}{\pd x_1}\Delta x_1 + O((\Delta x_1)^2) \end{align}

と近似できる。 よって,$x_1$方向のフラックスの収支は,流れ込むフラックスから流れ出るフラックスを差し引いて

\begin{align} \left[ \rho_m u_1 -\left( \rho_mu_1+ \frac{\pd(\rho_mu_1)}{\pd x_1}\Delta x_1 \right) \right] \Delta x_2 \Delta x_3 = -\frac{\pd(\rho_mu_1)}{\pd x_1}\Delta x_1 \Delta x_2 \Delta x_3 \end{align}

となる。これを$x_2$成分,$x_3$成分についても考えてまとめたものが,(\ref{eq:Mflo})である。

一方で,体積内の質量変化は単純に

\begin{align} \frac{dM}{dt}=& \frac{d}{dt}\int_V d^3x \rho_m(\bm{x},t) \notag \\ \label{eq:dM} =& \int_V d^3x \frac{\pd \rho_m(\bm{x},t)}{\pd t} \end{align}

とも表せる(2つ目の等式は,体積積分の後に空間依存性がなくなるため,時間全微分を偏微分として積分内に入れた)。 したがって,(\ref{eq:Mflo})と(\ref{eq:dM})を結ぶことで

\begin{align} \frac{\pd \rho_m(\bm{x},t)}{\pd t}+ \nabla\cdot[\rho_m(\bm{x},t)\bm{u}(\bm{x},t)] =0 \end{align}

が得られる。これを,(質量についての)連続の式という。



一般化

上では,質量に関する連続の式を導いたが,同様の議論が,電荷や 確率の密度など,一般のスカラー量についても適用できる。

例えば電荷密度の流れについてであれば,質量密度を電荷密度$\rho_e$に置き換えることで

\begin{align} \frac{\pd \rho_e(\bm{x},t)}{\pd t}+ \nabla\cdot\bm{j}(\bm{x},t) =0 \end{align}

が得られる。ここで$\bm{j}=\rho_e\bm{u}$は電流密度である。

また,対象とする量に関する何らかのソース項/シンク項が存在する場合,(\ref{eq:Mflo})の右辺に対応する項$S$を加えることで

\begin{align} \frac{\pd \rho(\bm{x},t)}{\pd t}+ \nabla\cdot[\rho(\bm{x},t)\bm{u}(\bm{x},t) ] = S(\bm{x},t) \end{align}

の形の式が得られる。


参考文献


自然科学に関する質問やノート作りは『AfterSchool』で。