ベクトル場の発散とGaussの発散定理

Dr. SSS 2018/11/06 - 15:12:44 線形代数とベクトル解析
はじめに

ここでは,ベクトル場の発散と,発散の体積積分を面積分と結びつけるGaussの発散定理についての解説を行う。


keywords: ベクトル解析, Carl Friedrich Gauss

内容

導出

体積

\begin{align} \Delta V=\Delta x\Delta y\Delta z \end{align}

の微小な直方体をベクトル場に置き,各面$dS$を通るベクトル$\bm{A}\left(x,y,z\right)$の流れ,流束(フラックス)の総量を求める。 単位ベクトル$\bm{n}$を平面に垂直に立てる(これを法線ベクトルと呼ぶ)と,この方向への流束は

\begin{align} \bm{A}\cdot\bm{n}dS=AdS\cos{\theta} \end{align}

と書ける。$\theta$はベクトルと法線のなす角度である。 直方体の中心の座標を$\left(x,y,z\right)$とすると,$x$軸に垂直な2つ面からの寄与の和は,対になる面同士で法線が反対方向を向いていることに注意すると

\begin{align} \notag \int_{S_1+S_2}^{\ }\bm{A}\cdot\bm{n}dS&=\left[A_x\left(x+\frac{\Delta x}{2},y,z\right)-A_x\left(x-\frac{\Delta x}{2},y,z\right)\right]\Delta y\Delta z \\ &=\left( \frac{\partial A_x}{\partial x}\Delta x \right) \Delta y \Delta z \\ \notag &=\frac{\partial A_x}{\partial x}\Delta V \end{align}

となる(図1)。


図1:微小立方体から出てくる正味の流束の$x$成分

残りの2対の面でも同じ議論が出来るため,微小体積から湧き出す(値が負なら入り込む)ベクトルの流束を表す式として

\begin{align} \notag \int_{S}^{\ }{\bm{A}\cdot\bm{n}dS} &=\sum_{i=1}^{6}\int_{S_i}^{\ }{\bm{A}\cdot\bm{n}dS}=\left(\frac{\partial A_x}{\partial x}+\frac{\partial A_y}{\partial y}+\frac{\partial A_z}{\partial z}\right)\Delta V \\ &=\left(\nabla\cdot\bm{A}\right)\Delta V \end{align}

が成り立つ。ここで

\begin{align} \left(\nabla\cdot\bm{A}\right)=\left(\frac{\partial A_x}{\partial x}+\frac{\partial A_y}{\partial y}+\frac{\partial A_z}{\partial z}\right) \end{align}

をベクトル$\bm{A}$の発散(ダイバージェンス)と呼ぶ。これらの微小な直方体の体積を無限小にとり加え合わせることで,任意の3次元領域での体積積分を近似できる。その際,隣り合う直方体同士は面を共有し積分が打ち消しあうため,結局,表面からの寄与だけが残る。


従って,改めて任意の領域の体積を$V$,表面を$S$とすれば

\begin{align} \int_{S}^{\ }{\bm{A}\cdot\bm{n}dS}=\int_{V}\left(\nabla\cdot\bm{A}\right)dV \end{align}

が成り立つ。これをGaussの発散定理と呼ぶ。



参考文献


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