放射強度(輝度)$L_\nu$は,大気中を伝達する過程で,大気分子による吸収や散乱によって変化する。 この過程の詳細は複雑なのだが,輝度の変化の様子はLambert-Bouguer-Beer法則にまとめあげることができる。 この法則は,吸収及び散乱による輝度の減衰は,$L_\nu$と,吸収あるいは散乱を起こす気体の密度$\rho_a$に比例することを述べる。
つまり,微小立体角$d\Omega$で,単位断面積を持つ気柱を進む放射を考えたとき,気柱の中を$ds$の長さ進む間に,吸収や散乱によって起こる輝度$L_\nu$の減衰は
と書ける。 ここで,$k_\nu$は消散係数(extinction coefficient)と呼ばれ,吸収係数$a_\nu$と,散乱係数$s_\nu$の和
で与えられる。
(\ref{eq:dLnu})より得られる微分方程式
の解は容易に得られ
となる。
気体が,吸収や散乱だけでなく,光子の放出により放射を増強する場合,(\ref{eq:dLds})には対応するソース項が加わる。 ソース項を,放射源関数(source function)$J_\nu$を用いて$k_\nu(s)\rho_a(s)J_\nu(s)ds$と置けば
が得られる。 これを放射伝達方程式(radiative transfer equation)という。