空気に含まれる水蒸気の量を表す方法はいくつもある。 最も直接的なものの1つは,絶対湿度(absolute humidity)で,考慮する空気の体積を$V$,そこに含まれる水蒸気の質量を$m_v$とし
で与えられる。 単位はg$\cdot$m$^{-3}$やkg$\cdot$m$^{-3}$が用いられる。
しかし,気象や気候の分野では,以下で紹介するような量の方がより一般に用いられる。 まず,空気中に含まれる水蒸気の質量を$m_v$,それ以外の乾燥した空気の質量を$m_d$としたとき
を,混合比(mixing ratio)という。 また,乾いた空気と水蒸気を合わせた空気全体の質量に対する水蒸気の質量
を比湿(specific humidity)という。 $r$はせいぜい数%なので,一般に$r$と$q$の値は非常に近くなる。
空気中の水蒸気の圧力が温度$T$で決まるある値$e_s$に達すると,蒸発と凝縮の割合が等しくなる。 このとき,空気は飽和しているといい,$e_s$を飽和水蒸気圧(saturation vapor pressure)という。 $T$-$p$図における飽和水蒸気圧の傾きは,Clausius-Clapeyronの式
で与えられる。 ここで,$\Delta s$および$\Delta v$は,それぞれ蒸発に伴う単位質量当たりのエントロピー変化および体積変化で,$L=T\Delta s$は単位質量当たりの潜熱である。 水の体積は,液体より水蒸気であるときの方が十分大きく
と近似できるから,Clausius-Clapeyronの式は
と書き換えられる。 この式は容易に積分出来て,基準温度を$T_0$とすれば,解を
と表すことができる。
最初の節で絶対湿度を定義したが,気象や気候の分野でより一般的に用いられるのは,相対湿度(relative humidity)の方だ。 これは飽和水蒸気圧と水蒸気の分圧との比で
と定義される。
状態方程式より,水蒸気の圧力$e$と,乾燥空気の圧力$p_d$はそれぞれ
である。 $R_v$および$R_d$はそれぞれ,水蒸気と乾燥空気のモル質量$M_v$および$M_d$と普遍気体定数$R^*$を用いて
と定義されるから,これらの比は
と計算できる。 これを用いることで,飽和混合比(saturated mixing ratio)が
によって評価できる。 $p_d$は全圧力$p$から$e_s$を差し引いた$p_d=p-e_s$であり,$p \gg e_s$であるから,(\ref{eq:rs1})は
と近似することができる。