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    黒体放射とPlanck関数

    Dr. SSS 2020/07/24 - 12:08:42 3605 気候物理
    はじめに

    太陽や地表による放射は,黒体放射によって近似できる。 ここでは,黒体による放射フラックスを表す式を導く。


    keywords: 放射, 太陽, 黒体放射, Planck関数

    Planck関数

    Planckの放射式

    \begin{align} \label{eq:Plancku} u(\nu)d\nu =\frac{8\pi\nu^2}{c^3}\frac{h\nu}{e^\frac{h\nu}{k_BT}-1}d\nu \end{align}

    は,黒体によって等方的に放射される単位体積当たりのエネルギー密度分布を表している。

    等方的な放射のうち,微小立体角$d\Omega$内に収まる割合は,立体角の割合$d \Omega/(4\pi)$をかけて

    \begin{align} u_\nu d\nu \frac{d\Omega}{4\pi} =\frac{2\nu^2}{c^3}\frac{h\nu}{e^\frac{h\nu}{k_BT}-1}d\nu d\Omega \end{align}

    となる。 これに,放射の伝播速度$c$をかけて得られる

    \begin{align} B_\nu(T) \equiv \frac{2 \nu^2}{c^2} \frac{h\nu}{\exp{\left(\frac{h\nu}{k_B T}\right)}-1} \end{align}

    は,$\nu$から$\nu+d\nu$の振動数を持つ放射によって,単位立体角内に漏れ出る単位面積当たりの仕事率,すなわちスペクトル輝度を表すことになる。 これを,Planck関数と呼ぶ。

    $\nu=c/\lambda$より

    \begin{align} \left| \frac{d\nu}{d\lambda} \right| = \frac{c}{\lambda^2} \end{align}

    であるから,Planck関数を振動数ではなく波長の関数として表すと

    \begin{align} \label {eq:PlanckL} B_\lambda(T) = \left| \frac{d\nu}{d\lambda} \right|B_\nu(T) = \frac{2hc^2}{\lambda^5} \frac{1}{\exp{\left(\frac{hc}{\lambda k_B T}\right)}-1} \end{align}

    となる。




    Stefan-Boltzmannの法則

    (\ref{eq:PlanckL})を全波長で積分することで,黒体輝度

    \begin{align} \int_0^\infty d\lambda B_\lambda(T) = \frac{\sigma}{\pi}T^4 \end{align}

    が得られる。 Stefan-Boltzmann定数$\sigma$の定義や積分の方法については『Stefan-Boltzmannの法則』を参照。

    これを半球に渡って積分することで,フラックス密度(照度)

    \begin{align} \int_0^{2\pi} d\phi \int_0^{\pi/2} B(T) \cos{\theta} \sin{\theta}d\theta = 2\sigma T^4 \int_0^{\pi/2} \sin{2\theta}d\theta = \sigma T^4 \end{align}

    と得られる。 黒体の放射フラックスが絶対温度の4乗に比例することを示すこの結果は,Stefan-Boltzmannの法則と呼ばれる。



    参考文献