位置演算子,運動量演算子そしてHamiltonian演算子などは,波動関数に作用させると,元の波動関数にその演算子に対応する物理量の値をかけたものと等しくなる。 一般に,このようにある演算子\footnote{数学的にいえば,線形作用素}$\hat{A}$を関数$f$に作用させた結果が,関数$f$に比例する形になるとき,すなわち
となるとき,関数$f$を$\hat{A}$の固有関数(eigenfunction),$a$を固有値(eigenvalue)という。 そして,与えられた演算子に対する固有関数と固有値を決定する問題を,固有値問題(eigenvalue problem)という。 固有値の集合はスペクトル(spectrum)と呼ばれ,固有値が連続的である場合は連続スペクトル(continuous spectrum),離散的である場合は離散スペクトル(discrete spectrum)という。
位置は,演算子$\hat{x}$の作用により,$\hat{x}\psi=x\psi$と得られる。 $\rho(x,t)=|\psi(x,t)|^2$が位置の確率密度を与えるということから,位置の期待値が
と求められることがわかる。 このとき
であることから,(\ref{eq:xave})は
と表現できる。