等速度運動と等加速度運動

Dr. SSS 2023/12/30 - 14:35:24 271 古典力学
はじめに

運動方程式の簡単な例として,力が働かない場合と,一様で一定の力が働く場合を考える。


keywords: 等速度運動, 自由落下, 運動方程式, 等加速度運動

内容

自由な物体の運動

Newtonの運動方程式

\begin{equation} m\frac{d^2\bm{x}}{dt^2}=\bm{F} \end{equation}

の例として,物体が直線的な軌道を描く運動を考えよう。 まず最もシンプルな例として,物体が自由な場合,すなわち外力が働かない場合

\begin{equation} m\frac{d^2\bm{x}}{dt^2}=0 \end{equation}

から始める。

この問題は,速度

\begin{equation} \bm{v}=\frac{d\bm{x}}{dt} \end{equation}

を用いて

\begin{equation} \frac{d^2\bm{x}}{dt^2} =\frac{d\bm{v}}{dt}=0 \end{equation}

と書き直せるから,速度が時間変化しないことを意味している。 つまり,物体の初速度を$\bm{v}_0$とすると

\begin{equation} \frac{d\bm{x}}{dt} =\bm{v}_0 \end{equation}

が成り立つ。 そして,これを積分すると

\begin{equation} \int dt \frac{d\bm{x}}{dt} =\bm{v}_0 \int dt =\bm{v}_0t + \bm{x}_0 \end{equation}

となる。 ここで積分定数$\bm{x}_0$は$t=0$とした場合の物体の位置,すなわち初期位置である。 運動方程式の解を得て運動を決定するというのは,時間の関数としての位置,すなわち軌道を決定するということであり,この場合の解として

\begin{equation} \bm{x}(t) =\bm{v}_0t + \bm{x}_0 \end{equation}

が得られたことになる。 このように,速度一定の運動を等速度運動(constant velocity motion)一様直線運動(uniform rectilinear motion)と呼ぶ。



一定の力が働く場合

今度は物体に一様で一定の力が働くようにする。 すると運動方程式は

\begin{equation} \frac{d^2\bm{x}}{dt^2}=\frac{\bm{F}}{m} \end{equation}

となり,質量$m$が一定であれば右辺全体は一定であるから

\begin{equation} \label{eq:basic_uniform_acceleration} \bm{a} =\frac{d^2\bm{x}}{dt^2} =\frac{d\bm{v}}{dt} \end{equation}

が一定になる。 このような運動は,等加速度運動(uniformly accelerated motion)と呼ばれる。

(\ref{eq:basic_uniform_acceleration})を時間で積分すると

\begin{equation} \bm{v} =\bm{a}t+\bm{v}_0 \end{equation}

が得られ,再び積分することで

\begin{equation} \label{eq:x_uniform_acceleration} \bm{x} =\frac{1}{2}\bm{a}t^2+\bm{v}_0t +\bm{x}_0 \end{equation}

が得られる。


参考文献