Hamilton形式

Dr. SSS 2019/07/26 - 09:28:38 古典力学
はじめに

Legendre変換の一般的方法や意味,あるいは一般化速度と一般化運動量の幾何学的性質の違いなどの説明は別の記事で行うことにして,ここでは手っ取り早くLagrange形式からHamilton形式に移行する手続きを解説する。


keywords: 運動方程式, 古典力学, Hamiltonian, Legendre変換, Hamilton力学

内容

一般化運動量

Lagrange形式の利点の一つとして,保存則の見やすさがある。例えばLagrangianが平行移動$L(q)\to L(q+\epsilon)$で不変に保たれるとき,すなわち

\begin{align} \sum_i \frac{\pd L}{\pd q^i} \epsilon^i =0 \end{align}

のとき,Euler-Lagrange方程式

\begin{align} \label{E-L} \frac{d}{dt}\frac{\pd L}{\pd{\dot{q}}^i}=\frac{\pd L}{\pd q^i}, \end{align}

より

\begin{align} \label{p consv} \sum_i \frac{d}{dt}\frac{\pd L}{\pd{\dot{q}}^i}=0, \end{align}

となり,$\pd L/\pd \dot{q}^i$の総和は保存量であることがわかる。

ここで

\begin{align} \label {def p} p_i(q,\dot{q},t)\equiv \frac{\pd L}{\pd{\dot{q}}^i}, \end{align}

は$q^i$に共役な一般化運動量(generalized momentum)と呼ばれ,(\ref{p consv})は一般化された運動量保存則に対応する。

一般化運動量は$q^i$が直交座標でない場合,一般に線形運動量と同じ次元を持たないし,例えば電磁場中の荷電粒子のように速度に依存するポテンシャルを持つ場合,$q^i$が直交座標であっても力学的運動量$mv$とは一致しない。




Hamiltonian

簡単のため時間に陽に依存しないとすると,Lagrangianの全微分は一般化運動量を用いて

\begin{align} \notag dL=& \frac{\pd L}{\pd q^i} dq^i +\frac{\pd L}{\pd \dot{q}^i} d \dot{q}^i \\ \label {dL} =& \dot{p}_i d q^i + p_i d \dot{q}^i \end{align}

と表せる。ここで(\ref{E-L})より

\begin{align} \frac{\pd L}{\pd q^i} = \frac{d}{dt}\frac{\pd L}{\pd{\dot{q}}^i} = \frac{d}{dt} p_i \end{align}

の関係を使った。

(\ref{dL})の第二項を

\begin{align} p_i d \dot{q}^i=d(p_i \dot{q}^i)-\dot{q}^i dp_i \end{align}

とし,並び変えることで

\begin{align} \label {dH} d\left( p_i \dot{q}^i-L\right)=- \dot{p}_i d q^i + \dot{q}_i d p_i \end{align}

を得る。つまりこの式は,(\ref{def p})が定義できるとき,$q$と$p$の関数

\begin{align} \label {def H} H(q,p)\equiv p_i \dot{q}^i-L \end{align}

が存在することを表している。

この量は(\ref{dH})より

\begin{align} \frac{ d\left( p_i \dot{q}^i-L\right)}{dt}=- \dot{p}_i \dot{q}^i + \dot{q}^i \dot{p}_i=0 \end{align}

と保存量であることがわかる。$H$は系のエネルギーを表すが,$q$と$p$の関数であることを明示するときは,Hamiltonianと呼ばれる。


正準方程式

改めて,Hamiltonianは$q$と$p$を独立変数とする関数であり,$(q,p)$を座標とする空間を相空間(phase space)という。このとき,$q$,$p$はそれぞれ正準座標(canonical coordinates)正準運動量(canonical momentum)と呼ばれる。

(\ref{dH})から運動方程式

\begin{align} \dot{q}^i =& \frac{dH}{dp_i} \\ \dot{p}_i=&-\frac{dH}{dq^i} \end{align}

を得る。これをHamilton方程式あるいは正準方程式(canonical equation)という。


参考文献


自然科学に関する質問やノート作りは『AfterSchool』で。