強制振動:共振

Dr. SSS 2019/06/16 - 10:21:38 古典力学
はじめに

共振や共鳴といった現象の記述について説明する。


keywords: 調和振動子, 古典力学, 微分方程式, 振動, 共振, , 共鳴

内容

共振および共鳴とは

物体は固有の振動数を持っており,その振動数に近い振動数で外力を加えると,時間と共に振動が大きくなる。これを共振(resonance )という(音に関する場合を共鳴という)。声でグラスを割るパフォーマンスも同様の原理を利用している。例えば他に,『テスラコイル』なども共振を利用した装置である。

以下,具体的に方程式を解くことで,それらの性質を表す解が得られることを示す。『Hookeの法則と1次元調和振動子』の内容程度の知識を前提としている。


固有振動数を持つ外力による強制振動の解

単振動の式

\begin{align} \label {eq1} \ddot{x}+\omega_0^2 x \end{align}

に振動する外力

\begin{align} f \cos{\omega t} \end{align}

が加わった

\begin{align} \label {eq2} \ddot{x}+\omega_0^2 x = f \cos{\omega t} \end{align}

を考える。ここで,$\omega_0$を系の固有振動数という。共振は,この系の固有振動数と,外力の振動数が一致する場合:$\omega=\omega_0$に起こる。以下その場合を考える。

(\ref{eq2})のような線形微分方程式の解は,同次方程式(右辺を$0$にしたときの式)の一般解$x_0$と,非同次方程式の特解$x_1$の和:$x=x_0+x_1$の形で得られる。(\ref{eq2})を解く手順としてまず,外力が

\begin{align} f e^{i\omega_0 t} \end{align}

の実部であることを利用して,式(\ref{eq2})を

\begin{align} \label {eq3} \ddot{x}+\omega_0^2 x +f e^{i\omega_0 t} \end{align}

に置き換える。そして解を

\begin{align} x(t)=A(t) e^{i\omega_0 t} \end{align}

の形におくと

\begin{align} \dot{x}=&(\dot{A}+i\omega_0 A)e^{i\omega_0 t} \\ \ddot{x}=&(\ddot{A}+2i \omega_0 \dot{A}-\omega_0^2 A)e^{i\omega_0 t} \end{align}

となるので,これを(\ref{eq3})に代入することで

\begin{align} \ddot{A}+2i \omega_0 \dot{A}=f \end{align}

が得られる。

\begin{align} A=-\frac{if}{2\omega_0}t \end{align}

は,この微分方程式の解になるため,$A \exp{(i\omega_0 t)}$の実部

\begin{align} x(t)=\frac{f}{2\omega_0} t \sin{\omega_0 t} \end{align}

が(\ref{eq2})の特解として得られる。(\ref{eq1})の解を加えることで,一般解

\begin{align} \label {xsol} x(t)=a \sin{(\omega_0 t+\delta )} + \frac{f}{2\omega_0} t \sin{\omega_0 t} \end{align}

を得る。ここで$a$と$\delta$はそれぞれ振幅と初期位相を表す定数である。この二項目が共鳴項であり,時間と共に増大することがわかる。それが共振である。この項は$t \to \infty$で無限大になるが,現実には摩擦や抵抗力が存在するし,振動が大きくなると単振動の方程式が成り立つという仮定が破綻するため,(\ref{xsol})の形の解が適合しなくなる。




実例

下の動画は,上に述べたことのデモンストレーションとして非常にわかりやすい。

ちなみに,共振の例としてしばしば,タコマ橋を始めとするいくつかの橋の崩壊が挙げられるが,これらの橋の崩壊の原因が共振だという見方は誤りだと指摘されている。(参考:https://www.vice.com/en_us/article/kb78w3/the-myth-of-galloping-gertie


参考文献


自然科学に関する質問やノート作りは『AfterSchool』で。