慣性力
『Galileiの相対性原理』では,慣性系同士の変換を考えた。 今度は,ある慣性系での座標$\bm{x}$と別の基準系での座標$\bm{x}'$の間の変換を
と置き,より一般的な変換を考える。 ここで$\tilde{\bm{x}}$は慣性系から見た新たな基準系の原点を表す位置ベクトルである。 $\tilde{\bm{x}}(t)=\bm{V}t$としたのがGalilei変換である。 これを二回時間で微分することで
となる。 ここで$\bm{F}$は慣性系である元の基準系から見た力である。 よって,これを並び替えることで,新たな基準系での運動方程式が
と得られる。 ここで
は,新たな基準系が慣性系に対して一定でない速度で動いている場合,つまり非慣性系の場合に寄与が現れる項であり,慣性力(inertial force)と呼ばれる。 改めてこれは,基底ベクトルが一定の場合の例であることに注意。 より一般の場合は次の項で説明する。
一様加速と局所慣性系
座標軸に変化がない非慣性系の簡単な例は,一定の加速度で動く基準系である。 この場合,座標軸は元の基準系と一致させたまま,$\tilde{\bm{x}}=\bm{a}t^2/2+\bm{V}t$と置け,慣性力は
となる。 乗り物に乗っていて,加速が起こるときに,その加速とは逆方向に感じる力がこれである。
地表付近で自由落下する物体と一緒に運動する基準系では,慣性力$m\bm{g}$が働き,重力を打ち消す。 よって,外力$\bm{F}$を加えた場合のその基準系の一般的な運動方程式は
となり,慣性系と同じになる。 このように,局所的に重力が消去される基準系を,局所慣性系(local inertial frame)と呼ぶ。
References
――(1986). 力学 (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程). 広重 徹, 水戸 巌 訳. 東京図書.